この青空のまっ白く大きな塊はまったくもって夏の雲である。
秋や冬に見ることのない、力がみなぎる夏の雲である。
皆が言うように、このまっ白い塊はやわらかな綿飴であるに違いない。
昔々、食べたことのある人がいてそれが言い伝わっているのだろう。
ずっと毎日眺めていると、ある時ふわりふわりとからだが浮かび始めた。
どんどん上がってゆくのでそのまま青空に浮かぶ大きなまっ白い綿飴の中にゆっくりと入っ
ていった。
白くやわらかなその中はほのかに甘い匂いがして、口をあけるとからだじゅういっぱいに甘
い味が広がった。
嬉しい気持ちのままどれくらいそこにいたのだろうか、 気がつくと大きな白い綿飴はなく
なっていた。
そのままふわふわ漂っていると、まわりに鳥たちが集まりはじめ、漂っているからだをつい
ばみはじめた。 からだじゅうをまとった甘い綿飴に引き寄せられたようだ。
意外に恐れるような気持ちはなく、痛いような、なんだかくすぐったいような、少し可笑し
くもあり、そのままでしばらくいると、からだはきれいに全部なくなってしまった。
「あぁ すっかりきれいになくなったものだ。」 何故か妙に感心していると、ずいぶん遠く
にまた小さな白い塊が見えてきた。
綿飴への興味はもうなくなっていたのだが、「じゃ、次の場所へいってみようか、」そう思
って遠くの白い塊を目指してゆっくりと漂うことにした。
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